『マイ・インターン』食わず嫌いでした。反省。
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
トリコです。
突然ですが、人それぞれ好みってあるじゃないですか。
自分は映画に関して言うと、シリアスめのサスペンスとか、リアリティーがあって鑑賞後にズッシリ来るような作品が好きなんです。(一番好きな監督はデヴィッド・フィンチャー)
、、なんですけど、ここ最近の世界的な陰鬱とした雰囲気に呑みに呑まれて遂に観ちゃったんです、『マイ・インターン』。
ずっと食わず嫌いしていたジャンルの映画なんですけど、いやもう、ごめんなさい、めちゃめちゃ良い作品でした、、。
もともと自分の好みとは真逆の系統の作品なのに、何にここまで心を惹きつけられたのか、今作の魅力について考えていこうと思います。
そもそもどんな作品?
『マイ・インターン』
2015年公開、121分
原題 : The Intern
監督 : ナンシー・マイヤーズ
出演 : ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ、レネ・ルッソ
なんとなく、
定年後のおっちゃん(ロバート・デ・ニーロ)がアパレル企業にインターンして、バリバリ女社長・ジュールズ(アン・ハサウェイ)の下で色々問題を起こしつつもなんとか成長して、第2の人生を歩み始める、
みたいなストーリーかと勝手に思ってたんですけど、全然違いました。
おっちゃんめちゃめちゃ有能でした。
まさかのアン・ハサウェイが成長する側でした。
この点については後程詳しく書こうと思います。
人望の塊、ベン
やっぱり、この作品の一番の魅力はここなんですかね。ロバート・デ・ニーロ演じる70歳のベンがとにかく魅力的なんです。魅力多すぎるので箇条書きにしてみると、
- 70歳ということで人生経験が豊富
- なのにそれを鼻にかけておらず、言葉の選び方も完璧なので、さりげなく与えてくれる助言が押しつけがましくない
- 70歳なのに常に新しいものを自分に取り入れようとする貪欲さ
- 若者に自分の価値観を押し付けようとせず、時代に適応しようとする
- というか普段からそう心掛けているからなのか既に割と適応している
- 一つ一つの所作がチャーミングでキュート
まず1、2つ目について。ベンは70歳のおじいちゃんなのに、仕事もできて人付き合いも上手で、観察力に長けていて謙虚。そこには大人の余裕が溢れていて、いつも的確な助言やヒントをさりげなく与えてくれるんです。自分の有能さを誇示したいわけではなく、本当に心から相手のことを考えた上で出てくるもの言葉だからこそ、そこに押しつけがましさが生まれないんだろうなと。常に他人本位で物事を考えられるの大尊敬。
3、4、5つ目。これね、人間として生きていくうえで本当に大事だと思う。個人的には、人間自分をアップデートすることを諦めたら終わりだと思っていて。そういう面でも彼には見習うべきところが沢山あるなと。
勿論、彼にだって年相応に古風なところも少なからず残っています。でも、それが「古くさい考え」とかではなく「忘れられかけていた良識」であるから魅力が上書きされちゃうんです。例えば、「涙を流す女性に渡すため」に常にハンカチを持ち歩いていることとか。
自分の中に「残すもの」「捨てるもの」「取り入れるもの」「取り入れないもの」を正しく取捨選択して生きてきたからこそ出来上がった人格なんだろうなと。
6つ目はねえ、もうそういうことですよ。可愛いんよ、ベン。やっぱり会社にも直ぐ馴染んで気づいたらみんな彼のもとにいるの、人望の塊です。
根っからの悪者が存在しない世界
この作品には存在に苛ついたり、胸糞悪かったりするキャラクターが登場しません。
ジュールズに時代錯誤な発言をぶつけるCEO候補なども会話には登場しますが、実際に登場はしません。この綺麗な世界にとってはノイズになってしまうからかな。
ですが唯一、ジュールズの夫であるマットが浮気してしまいます。
勿論「もう、、何やってんだよ、、。」とは思いました。思いましたけど、もともとバリバリの仕事人間だった彼が仕事を辞めて「育メン」となり、妻がほとんどいない状態で娘を育てるのも不安が大きかったんだろうなと。ママ友との交流もストレスだっただろうし。別にだからと言って浮気が許されるとは言ってないし思ってないですけど、少なくともこの作品の中で彼は「悪人」としては描かれていないような気がします。
邦題 : マイ・インターン
ここまで述べてきた通り、この作品はバリバリ女社長の下でインターンが成長する物語ではなく、70歳のインターンの下で社長が成長する物語でした。
そう考えるとこの邦題の「マイ」ってベンのことだともジュールズのことだとも取れて面白いタイトルだなあと思います。
もっと言うと、この映画の観客のことだとも取れちゃったりして。勿論、「人生こんなイージーじゃねえよ」っていうツッコミを入れたくなるのもわかりますし、自分もまあそう思いますけど、それでも少なからずこの作品から得られるものはあったんじゃないかなと思います。
ということで、『マイ・インターン』について語ってみました。
個人的には新たに映画のジャンルを開拓できたような気がして嬉しいです。
次は『プラダを着た悪魔』でも観ちゃおっかな。
ばい。