トリコのお気に入り

映画、音楽、時々ドラマとゲーム。

『ブラック・クランズマン』は現代の"ブラックスプロイテーション"

おはようございます。こんにちは。こんばんは。

トリコです。

 

『ブラック・クランズマン』という映画を御存知でしょうか。

『マルコムX』などで有名なスパイク・リー監督作品で、日本では2019年公開されました。2019年の第91回アカデミー賞では脚色賞を受賞しています。

 

今作は、黒人刑事とユダヤ系刑事がKKK(クー・クラックス・クラン)に潜入し捜査する、という内容なのですが、驚くことに実話が基になっています。

 

今作は良くできた娯楽作品ですし、何も知らなくとも十分に楽しめる作品です。

ですが、それと同時にスパイク・リー監督の怒り、メッセージが強く込められた作品であり、今作で描かれているものの歴史を知ることでより多くのメッセージを受け取ることができる筈です。

ということで、この記事では今作の時代背景や歴史について解説していこうと思います。

より深い映画体験の手助けになれば幸いです。

 

 

『ブラック・クランズマン』の概要

2019年公開、128分

原題 : BlacKkKlansman

監督 : スパイク・リー

出演 : ジョン・デヴィッド・ワシントン、アダム・ドライバー

受賞 : 第91回アカデミー賞 脚色賞

filmarks.com

 

黒人刑事のロンとユダヤ系刑事のフリップが2人で1人を演じKKK(クー・クラックス・クラン)に潜入捜査する物語。

人種差別についての作品ですが、比較的軽快なタッチで描かれているため比較的観易い作品だと思います。また、単なるバディーもの、潜入捜査ものとしても高いクオリティーだと思います。

 

KKK(クー・クラックス・クラン)とは

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十字架を燃やす儀式

引用 : The Most Iconic Photographs of All Time - LIFE

KKKは南北戦争(1861-65)後にアメリカで結成された白人至上主義の秘密組織で、団員は"クランズマン"と呼ばれます。

黒人を迫害していることはよく知られていますが、現在ではカトリック、ユダヤ系、イスラーム、同性愛者などへの迫害も行っています。

上の写真のように、白装束、白頭巾を纏い、十字架を燃やす儀式を行うことでも知られています。

 

ラストに流れる実際の映像

2017年、KKKやネオナチが参加した白人至上主義者らと、それに抗議する人々が衝突しました。その際、抗議者たちの集団に白人至上主義者の自動車が突っ込み、ヘザー・ハイヤーさんが亡くなってしまうという痛ましい事件が起きました。

この数時間後、トランプ大統領はこの事件についてどちらの側にも非があるという旨の発言をし、白人至上主義者へ批判を避けた会見を行いました。これには民主党議員だけでなく共和党議員からも非難が集まりました。

 

先ほども述べた通り、この作品は実話がベースになっているのですが、本編ラストで、この一連の出来事を映した実際の映像が流れます。とてもショッキングな映像で、依然として現代に蔓延る人種差別の撤廃への壁はまだまだ高いことを思い知らされます

 

『15時17分、パリ行き』や『アメリカン・スナイパー』などでも採られていたこの手法はあまり好きではないですし、今作のこのラストも賛否両論分かれているようですが、個人的には今作に於いてはこの仕掛けは上手く効いていたんじゃないかなと思います。敢えてコメディ要素を交えながら描かれてきたこの作品のラストで、重く悲しい衝撃的な現実を観客に突きつけることで、よりメッセージ性を高めることに成功しているように感じました。

 

ブラックスプロイテーションとしての側面

今作の会話中には、『黒いジャガー』(1971)、『スーパーフライ』(1972)などの作品名が登場します。これらの作品は"ブラックスプロイテーション"と呼ばれる70年代前半に流行したブラックムービーの先駆けと言われています。

公民権運動などを経て黒人が地位を確立し始めたことで生まれたこのブラックスプロイテーションは、頭の切れる黒人の主人公が悪徳な白人を打倒していくストーリーが描かれているのが特徴で、黒人観客をターゲットとして作られていました。

このブラックスプロイテーションは、70年代半ばで流行は終了するのですが、『ブラック・クランズマン』はこのブラックスプロイテーション作品の流れを踏襲しています。

 

大枠で見れば黒人が白人を倒すプロットで描かれるブラックスプロイテーション。

では、ブラックスプロイテーションは革命的なのか反革命的なのか。

また、『ブラック・クランズマン』は革命的なのか反革命的なのか。

それを読み取れれば、スパイク・リー監督が何故敢えてブラックスプロイテーションの流れを踏襲したのか、自ずと理解できそうです。

(これについてはこちらの記事にとても分かりやすく書かれているため拝借したいと思います。↓)

osakamonaurail.com

 

 

 

ということで、今回は『ブラック・クランズマン』の鑑賞に当たって、理解を助けるための歴史、知識を紹介しました。この作品には現代を生きる我々に解決すべき問題、現状をを投げかけてくれています。少しでも多くの方がこの作品に出会ってほしいと願っています。では。

 

ばい。

クッソ下品なテラスハウスこと、『ザ・ジレンマ』

おはようございます。こんにちは。こんばんは。

トリコです。

 

最近Netflixで配信が始まったリアリティー番組『ザ・ジレンマ もうガマンできない?!』という番組をご存知でしょうか?

配信開始から間もない4月20日現在、Netflixの「今日の総合第1位(日本)」に選ばれているほど人気の番組です。

 

日本では『テラスハウス』などでお馴染みのリアリティー番組ですが、この番組にはあるルールがあります。参加者は美男美女揃い、参加者全員がセックス目当てなんです。

その中で参加者たちに告げられるルール、それは"キス、セックス、自慰行為など、すべての性的交渉が禁止"というものです。

無事1か月の期間を終えたら勝者が選ばれ、賞金10万ドルが分配されるのですが、上記のルールを破ってしまうと、程度に応じて賞金が減額されてしまうのです。

今回は、この「パット見」ゲスーいリアリティー番組を紹介していこうと思います。

 

 

魅力1. ドロドロした人間関係

上記のルールの下で、参加者たちは「賞金のために禁欲する者」と「それでも欲を抑えきれない者」に分かれていきます。ルールを破り、賞金を減らした者には冷たい視線が向けられ、信頼を失います。そのような関係性の中で、期待、失望、復讐心など色々な感情がうごめき、絶えず関係性は変化していきます。

 

魅力2. 参加者たちの人間的成長

金と欲の狭間でうごめく人間関係の中で、彼らは少しずつ成長していきます。

「過去のトラウマから人に心を開けなくなり、体だけの浅い関係に依存するようになってしまった者」、「毎日セックスをすることしか頭になく、相手とそれ以上の関係を築こうとしてこなかった者」、「過去に虐められた経験から外見に自信を持てなくなってしまった者」など、多種多様な過去や欠陥を持つ参加者たちが少しずつそれらを曝し出して行き、セックスだけの関係ではなく、"心"の奥からで深く繋がった関係を目指していきます

彼らが不器用ながらも少しずつ成長していく姿にはあなたも胸を打たれる筈です。

 

魅力3. 美男美女の参加者たち

なんだかんだ大事ですよね、これ。

参加者みんなスタイル抜群で目の保養になります。

以下、10人の参加者のインスタを貼っておきます。

お気に入りの人を見つけてから見始めるのも面白いかもしれません。

 

クロエ

Chloe, Essex, UK

かなりの天然で、憎めないおバカちゃん。彼女がいると場が明るくなります。

 
 
 
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シャローン

Sharron, New Jersey, USA

タトゥーが自慢の黒人男性で背は低め。セックスは歯磨きだという衝撃的な名言を残します。

 
 
 
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ヘイリー

Haley, Florida, USA

美しく長い金髪が印象的。予告ではフランチェスカとキスするシーンも、、?

 
 
 
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Could you resist me for 100k ?😏 stream me bitch @netflix

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ハリー

Harry, Queensland, Australia

身長が198cmもあるイケメンやんちゃボーイ。可愛らしい笑顔がズルい。

 
 
 
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Can I simp for you 👉🏼👈🏼🥺

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デイビッド

David, London, UK

筋肉ゴリゴリのイケメン好青年。見てたら分かりますがめちゃめちゃ良い人です。

 
 
 
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If you’re bored in lockdown, I’ve heard of this new show on @netflix you might like... . @toohotnetflix 😉 . #toohottohandle🔥

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フランチェスカ

Franchesca, British Columbia, Canada

彼女はもう超超超問題児ですね。初っ端からグループを搔き乱します。

 
 
 
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@faragothelabel now available for pre-order♻️👙🌍 link in bio♥️

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マシュー

Matthew, Colorado, USA

キリスト。神。お兄ちゃん。

 
 
 
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🙏🏼

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ロンダ

Rhonda, Georgia, USA

自分を変えたいという意識が強く、周りからも一目置かれているような存在。

 
 
 
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ニコール

Nicole, Cork, Ireland

ちゃんと気の遣える良い子ですよ彼女は。

 
 
 
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ケルス

Kelz, London, UK

ライオンに憧れるジャングル王。気づいたら会計係になってた人。

 
 
 
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“I’m Kelz and I’m King of the Jungle” Too Hot To Handle is now streaming 🌍 . @toohotnetflix

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初めの方は禁欲に対して不満たらたらだった彼らが、少しずつ人間として成長していく姿には少なからず心を打たれる筈です。

少しでも興味を持ってもらえた方には是非、初回だけでも見てもらえたらな、と思います。では。

 

ばい。

WACKはBiSHだけじゃないんです。

はじめまして。こんにちは。こんばんは。

トリコです。

 

最近破竹の勢いで急成長しているアイドル事務所があります。

それが、BiSH、豆柴の大群を擁するWACKです。

 

恵まれた楽曲と確かなパフォーマンス能力、時には「しゃべくり007」や「アメトーーク!」などのバラエティー番組出演で着実に知名度を上げてきたBiSH。

「水曜日のダウンタウン」でデビュー前から注目を集め、クロちゃんのもとで華々しくデビューを飾った豆柴の大群。

WACKと言えばこの2組に注目が行きがちですが、他にも実力と魅力を兼ね備えたグループが沢山所属しているんです。

ということで、今回はBiSH、豆柴の大群以外にスポットを当てて紹介していきたいと思います。

 

 

WACKの歴史

まずは株式会社WACKの歴史についてお話ししようと思います。

渡辺淳之介が2014年、マネジメントしていた1期BiSの解散とともにつばさレコーズを退社し、株式会社WACKを設立。

サウンドプロデュースに関しては殆どのグループ(CARRY LOOSE以外)を松隈ケンタが担当しています。

以下が所属アーティストの変遷です。

蛍光ラインが引いてあるグループが現在活動中、または活動予定のグループです。

2014年

・プラニメ結成。

2015年

BiSH結成。

・プラニメ、POPに改名。

2016年

・POP、GANG PARADEに改名。

・2期BiS結成。

2017年 

EMPiRE結成。

2018年

WAgg結成。

BiSHのアユニ・DがPEDROとして活動開始。

2019年

・2期BiS解散、それに伴い3期BiS結成。

CARRY LOOSE結成。

豆柴の大群結成。

2020年

GANG PARADEGO TO THE BEDSPARADISESに分裂。

 

BiS(3期)

現メンバー : イトー・ムセンシティ部、チャントモンキー、ネオ・トゥリーズ、トギー

元メンバー : マナコ・チー・マナコ、ズズ・デス

 

2019年6月に活動開始したばかりであるにも関わらず、もう一体感が凄い。

自分たちがBiSなんだ。」という自覚が兎に角強くてそれがパフォーマンスの力強さにも繋がっています。

4人全員、割と歌えるメンバーが揃っている中、ネオ・トゥリーズの歌唱力が特にずば抜けています。個人的には、アイナ・ジ・エンド一強感があったWACKにおいても、かなりの存在感を発揮しているように思います。

 

STUPiD

3期BiSで一番初めに公開された楽曲であり、一番の人気曲。

ライブでもイントロからファンの熱気が溢れる。

 

BASKET BOX

最新アルバム『LOOKiE』のリード楽曲。

歌詞が良いですね、あとMVがカラフルで可愛い。

 

少年の歌

1stアルバム制作時に作成されたが収録されなかった楽曲。

Cメロのネオの「いつだって乾いてる」が突き抜けてて気持ち良い。

 

EMPiRE

現メンバー : YU-Ki EMPiRE、MAYU EMPiRE、MiDORiKO EMPiRE、MAHO EMPiRE、MiKiNA EMPiRE、NOW EMPiRE

元メンバー : YUiNA EMPiRE(現CARRY LOOSE)、YUKA EMPiRE

 

WACKとavexの共同プロジェクトであるEMPiRE。

WACKでは珍しく、スタイリッシュな衣装や楽曲が多い印象です。

ダンス経験者であるNOW EMPiREの加入後は、EDM調でダンスが激しい楽曲が増えてきています。

 

ピアス

YUKA EMPiRE脱退前最後のシングル。

そのような経緯もあってか、この曲を披露する際はより気迫が感じられる。

 

Have it my way

現在のEMPiREの方向性を決定づけた楽曲。

EDM調の楽曲で、サビのラップ部分はライブでは盛り上がること間違いなし。

 

EMPiRE is COMiNG

語りの部分からサビのメロディーまで中毒性があって癖になる。

 

CARRY LOOSE

現メンバー : パン・ルナリーフィ(元2期BiS)、YUiNA EMPiRE(元EMPiRE、2期BiS)、ウルウ・ル(元WAgg)、ユメカ・ナウカナ?

 

昨年結成されたグループで、全員がアイドル経験者。(ユメカは元アイドルネッサンス)

唯一松隈ケンタのサウンドプロデュースを受けていないため、他グループとはまた違った雰囲気の楽曲が特徴です。

 

にんげん

歌詞が物凄くよいです。

あと、ウルウ・ルの声を聴くと泣きそうになります。本当に良い声。

 

CARRY LOOSE

CARRY LOOSEで初めてMVが作られた楽曲。MVが独特な雰囲気でお洒落。

 

GANG PARADE

現メンバー : カミヤサキ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、ナルハワールド(元WAgg)

元メンバー : アヤ・エイトプリンス(元2期BiS)、ハルナ・バッ・チ―ン

 

プラニメ、POP時代も含めるとWACKで一番歴史が長いグループ。

5月22日に結成時のメンバーであるカミヤサキが脱退。

その後、GANG PARADEはGO TO THE BEDSとPARADISESに分裂し、活動していく予定です。

 

Plastic 2 Mercy

ギャンパレと言ったらこの曲。

大所帯であるギャンパレの迫力がとても感じられ、ライブでも盛り上がる一曲。

 

LAST

メジャーデビュー前にリリースした楽曲。

BiSの『primal.』とコード進行が同じで、聴いているだけでエモい気分に。

 

GO TO THE BEDS

予定メンバー : ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン

 

GANG PARADEから派生したグループ。

割とギャンパレの歌の要であったメンバーが揃っています。

 

Don't go to the bed

WACKらしい激しいロックチューン。

「ピーポーピー」が頭から離れない。

 

PARADISES

予定メンバー : テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイ(元WAgg)

 

GANG PARADEから派生したグループ。

WAggのキラ・メイが先日の合宿オーディションにて昇格しました。

 

GOOD NIGHT

キャッチ―でポップな楽曲。

松隈ケンタの娘、松隈ミノリが作曲にクレジットされている。

 

WAgg

現メンバー : ウタウウタ、ア・アンズピア、ナアユ、愛、サアヤイト、キラ・メイ(PARADISESに昇格予定)、アイナスター

元メンバー : ナルハワールド(現GANG PARADE)、マリン・バ、ウルウ・ル(現CARRY LOOSE)、ハナエモンスター(現豆柴の大群)

 

WACKによるアイドル育成プロジェクト。

実力が認められた場合は上記グループや、新グループに昇格することができます。

 

PEDRO

BiSHのアユニ・Dのソロプロジェクト。

ここ最近はギターはNUMBER GIRLの田渕ひさ子。

全楽曲アユニ・Dが作詞しています。

 

WORLD IS PAIN

語りのような不安定なメロディーのAメロと、突き抜けるような爽やかなメロディーのサビのギャップが気持ち良い。

 

Dickins

独特な歌詞の世界観と、サビのメロディーの難解さが上手くマッチしている。

 

 

 

以上、WACK所属のアーティストたちを紹介しました。(最後は若干番外編感あったけど)

BiSHや豆柴の大群以外にも沢山良いグループ、楽曲があるので是非色々漁ってみたりしていただけると喜びます。

 

ばい。

『三毒史』は東京事変再生の伏線だった?

おはようございます。こんにちは。こんばんは。

トリコです。

 

2020年元日、東京事変が再生することを発表しました。

彼らが再生後初めて出したMV『永遠の不在証明』(https://www.youtube.com/watch?v=zKBCSBfP9TI)に登場するのが、豚の巨大風船と鶏が打ち上げる花火。

実はこれ、椎名林檎が昨年リリースしたアルバム『三毒史』に収録されていた楽曲『鶏と蛇と豚』のMV(https://www.youtube.com/watch?v=u77yCRwSCXg)に登場していたものだったんです。

事変とソロのMVが世界観を共有していたのはかなり衝撃的でしたし、興味深いなと思ったので、今回は『三毒史』と「東京事変再生」にどのような関係性があるのか、考察していこうと思います。

 

 

三毒とは

そもそも『三毒史』のモチーフとなっている"三毒"とは何なのでしょうか。

三毒とは、

仏語。人の善心を害する3種の煩悩 。貪(とん)・瞋(しん)・痴(ち)。

引用 : https://dictionary.goo.ne.jp/word/ 三毒

「貪」は貪り、「瞋」は怒り、「痴」は愚かさを表しています。また、それぞれの煩悩を象徴する動物が鶏、蛇、豚であるの考えられている訳です。

『鶏と蛇と豚』では、

Aメロでは甘い蜜を独占しようという「貪り」が、

Bメロではその蜜が毒だったのではないかという「怒り」が、

サビでは物事の分別が付かなくなり、自分しか信じられなくなってしまっている「愚かさ」が描かれています。

 

孔雀と豚と新宿の目

第2期東京事変のシンボルは孔雀。

実は、仏教に於いて、三毒を喰らい浄化する存在とされているのが「孔雀明王」なんです。

つまり、『鶏と蛇と豚』では、三毒が東京を侵食していく様子が描かれているのに対し、『永遠の不在証明』では、東京事変が三毒を喰らい、東京を救う様子が描かれている、ということです。

 

更に言うと、『鶏と蛇と豚』のMV中にも、既に事変の活躍が描かれているシーンがあるようにも思います。それが、豚が風船を手放し、風船が宙に昇っていくシーン。このシーンで、MV序盤で消えた東京中の電気が、豚の風船が上昇するとともに再度点灯していっています。

このシーンから、豚は風船を持っていないと三毒としての役目を果たせないのだと考えられますが、MVでは豚が自ら風船を手放している様子が映し出されています。つまり、豚が事変を前にして諦めてしまい、退治されたことを表しているのではないか、と考えられる訳です。

 

また、『鶏と蛇と豚』では灯りが消えてしまった新宿の目ですが、『永遠の不在証明』では一瞬ですが点灯しているシーンが映ります。それも、事変がやっていたことで新宿の目を中心とする東京の街が救われたことを暗に示唆しているのではないでしょうか。

 

蛇がいない理由

『鶏と蛇と豚』では、マーチングバンドを率いて花火を打ち上げる鶏、ねぶたに乗って日本橋川から現れる蛇、巨大風船を携えて闊歩する豚が登場しますが、『永遠の不在証明』には蛇だけ登場しません。

これには2つほど理由を考えてみました。

 

1つ目は、孔雀はもともと毒蛇を喰らうものして崇められていたから、というもの。既に蛇は事変によって喰われたと考えると、登場しないことにも合点がいきます。

 

2つ目は、孔雀明王は明王の中で唯一忿怒相を持たないから、というもの。他の明王と違って怒りを知らない孔雀明王、真っ先に「怒り」の象徴である蛇を喰らったと考えることもできます。

 

まあ単純に製作上の問題で登場させることが難しかった、ってことも考えられますけどね。というかこれが最有力かもしれないですけど。()

 

 

 

ということで、椎名林檎『鶏と蛇と豚』と東京事変『永遠の不在証明』の関係について考察してみました。

椎名林檎は『三毒史』リリースの際のインタビューで、

だいぶ前から“三毒”をテーマにしたアルバムを作りたいと思っていました

引用 : 椎名林檎「三毒史」インタビュー|デビューから20年経て向き合った、人類共通の“三毒” (3/3) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

と語っています。この「だいぶ前」から、事変再生への伏線として逆算してすべて作られていたとしたら、もう彼女のセルフプロデュース力の高さに恐怖すら感じてしまいますね。

東京事変、また何時活動が終了するかもわからないので、其れ迄目一杯味わっておきたいもんです。

 

ばい。

『マイ・インターン』食わず嫌いでした。反省。

おはようございます。こんにちは。こんばんは。

トリコです。

 

突然ですが、人それぞれ好みってあるじゃないですか。

自分は映画に関して言うと、シリアスめのサスペンスとか、リアリティーがあって鑑賞後にズッシリ来るような作品が好きなんです。(一番好きな監督はデヴィッド・フィンチャー)

、、なんですけど、ここ最近の世界的な陰鬱とした雰囲気に呑みに呑まれて遂に観ちゃったんです、マイ・インターン

ずっと食わず嫌いしていたジャンルの映画なんですけど、いやもう、ごめんなさい、めちゃめちゃ良い作品でした、、。

 

もともと自分の好みとは真逆の系統の作品なのに、何にここまで心を惹きつけられたのか、今作の魅力について考えていこうと思います。

 

 

そもそもどんな作品?

『マイ・インターン』

2015年公開、121分

原題 : The Intern

監督 : ナンシー・マイヤーズ

出演 : ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ、レネ・ルッソ

 

なんとなく、

定年後のおっちゃん(ロバート・デ・ニーロ)がアパレル企業にインターンして、バリバリ女社長・ジュールズ(アン・ハサウェイ)の下で色々問題を起こしつつもなんとか成長して、第2の人生を歩み始める、

みたいなストーリーかと勝手に思ってたんですけど、全然違いました。

おっちゃんめちゃめちゃ有能でした。

まさかのアン・ハサウェイが成長する側でした。

この点については後程詳しく書こうと思います。

 

人望の塊、ベン

やっぱり、この作品の一番の魅力はここなんですかね。ロバート・デ・ニーロ演じる70歳のベンがとにかく魅力的なんです。魅力多すぎるので箇条書きにしてみると、

 

  1. 70歳ということで人生経験が豊富
  2. なのにそれを鼻にかけておらず、言葉の選び方も完璧なので、さりげなく与えてくれる助言が押しつけがましくない
  3. 70歳なのに常に新しいものを自分に取り入れようとする貪欲さ
  4. 若者に自分の価値観を押し付けようとせず、時代に適応しようとする
  5. というか普段からそう心掛けているからなのか既に割と適応している
  6. 一つ一つの所作がチャーミングでキュート

 

まず1、2つ目について。ベンは70歳のおじいちゃんなのに、仕事もできて人付き合いも上手で、観察力に長けていて謙虚。そこには大人の余裕が溢れていて、いつも的確な助言やヒントをさりげなく与えてくれるんです。自分の有能さを誇示したいわけではなく、本当に心から相手のことを考えた上で出てくるもの言葉だからこそ、そこに押しつけがましさが生まれないんだろうなと。常に他人本位で物事を考えられるの大尊敬。

 

3、4、5つ目。これね、人間として生きていくうえで本当に大事だと思う。個人的には、人間自分をアップデートすることを諦めたら終わりだと思っていて。そういう面でも彼には見習うべきところが沢山あるなと。

勿論、彼にだって年相応に古風なところも少なからず残っています。でも、それが「古くさい考え」とかではなく「忘れられかけていた良識」であるから魅力が上書きされちゃうんです。例えば、「涙を流す女性に渡すため」に常にハンカチを持ち歩いていることとか。

自分の中に「残すもの」「捨てるもの」「取り入れるもの」「取り入れないもの」を正しく取捨選択して生きてきたからこそ出来上がった人格なんだろうなと。

 

6つ目はねえ、もうそういうことですよ。可愛いんよ、ベン。やっぱり会社にも直ぐ馴染んで気づいたらみんな彼のもとにいるの、人望の塊です。

 

根っからの悪者が存在しない世界

この作品には存在に苛ついたり、胸糞悪かったりするキャラクターが登場しません。

ジュールズに時代錯誤な発言をぶつけるCEO候補なども会話には登場しますが、実際に登場はしません。この綺麗な世界にとってはノイズになってしまうからかな。

 

ですが唯一、ジュールズの夫であるマットが浮気してしまいます。

勿論「もう、、何やってんだよ、、。」とは思いました。思いましたけど、もともとバリバリの仕事人間だった彼が仕事を辞めて「育メン」となり、妻がほとんどいない状態で娘を育てるのも不安が大きかったんだろうなと。ママ友との交流もストレスだっただろうし。別にだからと言って浮気が許されるとは言ってないし思ってないですけど、少なくともこの作品の中で彼は「悪人」としては描かれていないような気がします。

 

邦題 : マイ・インターン

ここまで述べてきた通り、この作品はバリバリ女社長の下でインターンが成長する物語ではなく、70歳のインターンの下で社長が成長する物語でした。

そう考えるとこの邦題の「マイ」ってベンのことだともジュールズのことだとも取れて面白いタイトルだなあと思います。

もっと言うと、この映画の観客のことだとも取れちゃったりして。勿論、「人生こんなイージーじゃねえよ」っていうツッコミを入れたくなるのもわかりますし、自分もまあそう思いますけど、それでも少なからずこの作品から得られるものはあったんじゃないかなと思います。

 

 

ということで、『マイ・インターン』について語ってみました。

個人的には新たに映画のジャンルを開拓できたような気がして嬉しいです。

次は『プラダを着た悪魔』でも観ちゃおっかな。

 

ばい。